2012年8月24日金曜日

さむけ


工場で働いている53歳のパートおじさん
この人はすごい
一度も笑った顔を見たことがない
話しかけられなければまったく人と話さない
すごい
誰に対してもまったくブレがない
ぼくとはレベルが全然違う
コミュ障の王様みたいな人
名前は仮に山下さんとしておこう
いつも下を向いていて他人と目を合わせない山下さん
話すときは小さい声でぶつぶつと話す
(なんだよ、このおっさん)山下さんと接する他の社員は皆首をかしげていた
女性社員達が「山下さんて変な人だよね、そう思わない?」と噂しているのを聞いた
そんな山下さんの味方になりたいと思ったし仲良くなりたいとも思った
山下さんはぼくよりも少しばかり後に入社してきた
ぼくによく似ているタイプの人だから他人とは思えないところがある
ぼくだけは仲良くしてあげたいと思った

だけどこの人は本当に話さない
「今日も暑いですね」
「はい」
「気温は35℃だってニュースで言ってましたよ」
「えっ、そうなんですか?」
会話が止まる
「・・・夜も暑くて寝れないですよね」
「はい」
「でもぼくの部屋は南向きで風が通るからエアコンつけて寝たことないんですよ」
「えっ、そうなんですか?」
会話終了
ダメだ
ぼくも一生懸命心を開いて世間話を試みているのにまったく乗ってこない
もう2か月近く同じ職場で一緒に働いているのに
そちらから話しかけてくれたっていいじゃないか
この人は今までどうやって生きてきたのだろうか?
これからもここで働き続けるつもりなのだろうか?
いつもひとりでいて誰とも話さない山下さん
今までのこと
これからのこと
教えてください

ぼくはいろいろな事を聞きたいけれど
なにせ本当に話さない人だから困ってしまう
会社でいじめられる人というのはプライベートな部分がまったくわからない人だ
普段は家で家族と何を話し(山下さんの場合は家族がいるのかさえもわからない)
どのような趣味がありどのような休日を過ごしているのか
それがまったく想像できない人
いつも何を考えているかわからない人
私生活の姿がまったく見えない人はいじめられる
山下さんが危ない
(山下さんこのままじゃいじめられちゃうよ、ぼくが助けなきゃ)
そう思って接してきたのですが・・・

山下さんにだけ話したぼくの秘密
今日休憩中にふたりだけになる機会がありました
その時に今月いっぱいでこの工場を辞めるつもりだと彼に話しました
驚きました
ぼくにはじめて見せた表情
山下さんが笑ったんです
でも目は笑っていない
まるで人形のような冷ややかな笑顔でした
「ふふふ、へー、そうなんですか?」
何の感情もないいつもと同じような言葉
会話終了
ぼくはゾっとしました
その時わかりました
この人はぼくとは違うって

さむけがしました
ぼくは山下さんのことを誤解していたようです
世の中には孤独を当然のように受け入れているアウトローな人がいる
人を人とは思わない自分本位な冷血漢もいる
発達障害で生まれつき社交的な部分が完全に欠落している人もいる
山下さんはそういう類の人なのだと気づきました
ぼくは毎日叩いてはいけないドアをノックしていたのかもしれない
山下さんの生い立ちは知りません
これは知るべきではない
もう人の心の闇を覗くようなことはやめようと思いました

彼はぼくのことを職場の仲間とは見てなかったのでしょう
いつも話しかけてくる邪魔な奴だと思われていたのかな
「あいつは(頭が)おかしい」と職場の皆が噂しているのは正解なのかもしれない
原因はどうであれ本当に冷たく閉ざした心の人っているんだなぁ
まいった・・・
ぼくはまた人間嫌いになってしまった
この工場を辞める決心がついた気がします
早く悪い夢から覚めたい

仕事を変えるたびに心の傷が増えていきます
傷だらけでボロボロです
嫌な思い出はパワハラを受けたことだけではありません
人の心の冷たさに出会っただけでも忘れられない心の傷として残ります
ぼくのような弱い男にはこたえます

山下さんはぼくが辞めた後も悪霊のようにこの工場に居続けるのかな
こわいこわい(冷汗)
嫌な話になってしまいました
明日メンタルクリニックに行ってきます


少しだけ怖い話を書いたついでに心霊写真を貼ってみました
これ合成?ですよね?

そう言えば今年はまだ稲川淳二を見ていないな。。


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